目次
1、尋常性白斑とは?
「最近、皮膚の一部だけ色が抜けてきた」
「白い斑点が少しずつ大きくなっている」
「シミが消えたように見えるけれど、逆に白くなっている」
このような症状で受診される方がおられます。
尋常性白斑は、皮膚の色を作るメラノサイト(色素細胞)が減少したり機能を失ったりすることで、皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。
痛みやかゆみがないことも多いため、「そのうち治るかもしれない」と様子を見ているうちに広がってしまうこともあります。
白斑は感染症ではありません。周囲の人にうつることはなく、触れたり一緒に生活したりしても感染することはありません。
一方で、見た目の変化による精神的な負担が大きい病気でもあります。
近年では外用薬や光線療法の進歩により、以前より治療できることが増えています。
2、白斑にはどんな種類がある?
尋常性白斑は大きく分けると、分節型白斑と非分節型白斑があります。
分節型白斑は、顔や体の片側だけに出ることが多く、比較的若い年齢で発症します。
一方、非分節型白斑は最も多いタイプで、左右対称性に出たり、複数の部位に白斑が出現したりします。
顔、首、手指、肘、膝、脇、陰部などにできやすく、徐々に広がることがあります。
このほか、どちらにも分類しにくい未分類型白斑があります。
3、白斑の原因
白斑の原因は完全には解明されていません。
現在もっとも有力と考えられているのは自己免疫説です。
本来は体を守るはずの免疫が、自分自身のメラノサイトを誤って攻撃してしまうことで色素細胞が減少すると考えられています。
そのほかにも、
• 遺伝的要因
• 酸化ストレス
• 強い日焼け
• 摩擦や外傷
• 化学物質への曝露
などが関与すると考えられています。
また、甲状腺疾患などの自己免疫疾患を合併する方も少なくありません。
4、白斑の症状
白斑の症状は、周囲の皮膚よりも明らかに白く見える斑点や斑状病変です。
初期には数mm程度の小さな白斑として始まることもありますが、徐々に広がることがあります。
特に顔、口の周囲、まぶた、首、手指、肘、膝などはよくみられる部位です。
毛が白くなることもあります。
例えば、
• 眉毛が白くなる
• まつ毛が白くなる
• 頭髪が部分的に白くなる
ことがあります。 白髪化を伴う白斑は治療に時間がかかることがあります。
5、診断
診断は基本的に皮膚の診察で行います。
白斑の形、色調、分布、広がり方を確認し、他の病気との区別を行います。
また、ウッド灯という特殊なライトを使うと、白斑がよりはっきり見えることがあります。
6、検査
必要に応じて血液検査を行います。
白斑では、
• 甲状腺機能異常
• 橋本病
• バセドウ病
• 糖尿病
• 悪性貧血
• 膠原病
などを合併することがあります。
また、白く見える病気には、
• 癜風(でんぷう)
• 炎症後色素減少
• 梅毒
などもあるため、必要に応じて検査を追加します。
7、尋常性白斑の治療
外用治療(塗り薬)
尋常性白斑では、白斑の進行を抑えたり、残っている色素細胞(メラノサイト)の働きを助けたりする目的で外用薬を使用します。
・発症からの期間: 発症して間もない(一般的に1年以内など)初期の病変は、まだ毛包(毛穴)の奥にメラノサイト(色素細胞)の生き残りが存在する可能性が高く、治療によって色素が再生しやすいです。
・部位: 顔面や頭頸部は、手足の先端(四肢末梢)などに比べて血流が豊富で毛包が多いため、光線療法や外用薬に対する反応が極めて良好な部位です。特に発症から間もない白斑や、顔面など比較的治療反応の良い部位では、外用薬とエキシマライトを併用することで治療効果が高まることがあります。
ステロイド外用薬
白斑治療で最も広く使用されている外用薬です。
白斑では免疫の異常によりメラノサイトが攻撃されていると考えられており、ステロイドはその炎症や免疫反応を抑える働きがあります。
特に、
• 発症初期
• 広がりつつある白斑
• 体幹や四肢の白斑
で使用されることが多くあります。
一方で、長期間の連続使用では、
• 皮膚が薄くなる
• 毛細血管が目立つ
• ニキビ様発疹
などが起こることがあるため、部位や症状に応じて強さや使用期間を調整します。
タクロリムス軟膏(プロトピック)
顔や首の白斑で特に重要な治療薬です。
ステロイドとは異なり、皮膚萎縮を起こしにくいため、
• まぶた
• 口の周囲
• 顔面
• 首
などの皮膚が薄い部位にも使用しやすい特徴があります。
また、白斑ではタクロリムスとエキシマライトの併用効果が高いことが知られています。
顔面の白斑では第一選択となることも多く、比較的小さな白斑であれば改善が期待できます。
塗り始めに、
• ヒリヒリ感
• 熱感
• 軽いかゆみ
が出ることがありますが、多くは徐々に慣れていきます。
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
コレクチムはJAK阻害薬に分類される新しい外用薬です。
現在はアトピー性皮膚炎の治療薬として承認されていますが、近年は白斑に対するJAK阻害薬の有効性が世界的に注目されています。
白斑ではIFN-γ(インターフェロンγ)を中心としたJAK-STAT経路が病態に関与しているためです。
現時点では白斑に対する保険適応はありませんが、
• 白斑とアトピー性皮膚炎を合併している
• 顔面の炎症を伴う
といった症例では補助的に使用を検討することがあります。
今後さらに注目される可能性のある治療分野です。
活性型ビタミンD3外用薬
活性型ビタミンD3外用薬は、免疫反応を調整する作用を持つ外用薬です。
乾癬で使用されることが多い薬ですが、白斑でも補助的に使用されることがあります。
単独で劇的な効果を示すことは多くありませんが、
• ステロイド外用薬
• タクロリムス軟膏
• エキシマライト
と併用することで治療効果を高めることが期待されています。
副作用が比較的少なく、長期管理にも利用しやすい薬です。
外用薬だけでは改善しない場合
白斑は「塗ればすぐ治る病気」ではありません。
実際には、
• 外用薬のみ
よりも
• 外用薬+エキシマライト
の方が高い治療効果が期待できることが多くあります。
特に顔面や首の白斑では、
タクロリムス軟膏+エキシマライト
は現在の標準的な治療の一つです。
「以前に塗り薬だけで効果がなかった」という方でも、光線療法を組み合わせることで改善がみられることがあります。
手術治療
長期間安定している白斑では、皮膚移植が行われることもあります。
ただし一般皮膚科クリニックで行うことは少なく、専門施設での治療になります。
カバーメイク
結婚式、就職活動、学校行事などで目立たなくしたい場合には、医療用カバーメイクも有効な選択肢です。
8、エキシマライトによる光線療法
当院が特に力を入れている治療の一つが、エキシマライトによる光線療法です。
白斑治療において、エキシマライトは非常に重要な治療選択肢です。
エキシマライトは308nmという特殊な紫外線を、白斑部分だけに集中して照射する治療です。
健康な皮膚への影響を最小限にしながら、色素細胞の回復を促すことが期待できます。
特に、
• 顔の白斑
• 首の白斑
• 発症して間もない白斑
• 広がりつつある白斑
では高い治療効果が期待できます。
「塗り薬だけでは変化が乏しい」
「できれば色を戻したい」
という方には、積極的に検討したい治療です。
白斑は時間が経つほど色素細胞が減少し、治療に反応しにくくなる傾向があります。
そのため、
「まだ小さいから様子を見る」
よりも、
「まだ小さいうちに治療を始める」
方が有利なことがあります。
エキシマライトは保険適用で受けることができ、通常は週1〜2回程度の通院が目安になります。
治療開始後すぐに色が戻るわけではありませんが、継続することで白斑の中に色素が点々と戻り始めることがあります。
白斑治療の中でも、最も期待できる治療の一つです。
9、当院の白斑治療の考え方
白斑は「治らない病気」と思われていることがあります。
確かに難治性の病気ですが、現在では治療法が進歩しています。
当院では、
• 外用薬
• エキシマライト
• スキンケア指導
を組み合わせながら、一人ひとりに合わせた治療をご提案しています。
特に顔や手など目立つ部位の白斑は、早期治療が重要です。
「今さら受診しても意味がない」と思わず、お気軽にご相談ください。
10、日常生活で気をつけること
白斑では皮膚への刺激を減らすことが大切です。
強くこする習慣や摩擦は避けましょう。
また、強い日焼けは白斑を目立たせるだけでなく、病状に影響することがあります。
日焼け止めや帽子などを活用し、過度な紫外線を避けることをおすすめします。
一方で、自己判断で日光浴を繰り返すことはおすすめできません。
治療目的の紫外線は、医療機関で照射量を調整しながら行うことが重要です。
11、よくある質問(Q&A)
Q. 白斑はどんどん広がってしまいますか?
必ず広がるわけではありません。ただし進行期には数か月で範囲が大きくなることがあります。広がっている時期ほど早めの治療が重要です。
Q. 子どもの白斑は治りやすいですか?
一般的に小児は治療への反応が良いことがあります。特に顔面の白斑は改善しやすい傾向があります。
Q. 顔の白斑は治療効果が高いと聞きましたが本当ですか?
比較的本当です。顔面は毛包が豊富で色素細胞が残りやすく、エキシマライトやタクロリムスがよく効くことがあります。
Q. 白斑がある部分は日焼けしますか?
白斑部分はメラニンが少ないため、むしろ日焼けしやすくなります。赤く炎症を起こしやすいため注意が必要です。
Q. 白斑の毛が白くなっています。治りますか?
白髪化を伴う白斑は治療に時間がかかる傾向があります。ただし改善することもあるため、まずは治療を行いながら経過をみます。
Q. エキシマライトは何回くらい必要ですか?
個人差がありますが、数回で変化が出ることは少なく、一般的には数か月単位で治療を継続します。白斑は根気よく治療することが大切です。
Q. エキシマライトは痛いですか?
通常は痛みはありません。照射後に軽い赤みが出ることはありますが、多くの方は問題なく続けられます。
Q. 白斑はストレスで悪化しますか?
ストレスだけが原因ではありませんが、発症や悪化のきっかけになることがあります。睡眠不足や過労も避けることが望ましいです。
Q. 白斑は遺伝しますか?
遺伝だけで発症する病気ではありません。ただし家族内に白斑や自己免疫疾患がある方はやや発症しやすいことが知られています。
Q. 老人性白斑との違いは何ですか?
老人性白斑は加齢による小さな白点で、多くは手足に出現し、ほとんど広がりません。一方、尋常性白斑は比較的大きく、顔や体幹にも出現し、進行することがあります。
Q. 何年も前からある白斑でも治療できますか?
治療可能です。ただし新しい白斑の方が反応は良い傾向があります。長期間経過した白斑でも改善することはありますので、一度ご相談ください。
Q. 白斑かどうかわかりません。受診した方がよいですか?
白く見える病気は白斑だけではありません。癜風、炎症後色素減少、老人性白斑など様々な病気があります。診断が治療の第一歩ですので、お気軽にご相談ください。
下高井戸駅前皮膚科クリニックは、京王線・東急世田谷線「下高井戸駅」北口徒歩0分の、世田谷区・杉並区の皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科・アレルギー科です。
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