当院からのメッセージ

「最初は虫刺されだと思っていたのに、急に広がってきた」

「保育園に連れて行ってよいのか迷っている」

「きょうだいにうつさないために、何をすればよいのかわからない」

「薬を塗っているのに、なかなか良くならない」

とびひは、お子さまに多い皮膚の感染症です。ジュクジュクした傷や黄色いかさぶたを見ると、保護者の方はとても心配になると思います。

とびひは、早めに正しく治療すれば改善が期待できる病気です。一方で、様子を見ているうちに掻いて広がったり、登園・登校やプールの判断で困ったりすることもあります。

下高井戸駅前皮膚科クリニックでは、皮膚の状態を確認したうえで、

• とびひとして治療してよい状態か
• 塗り薬で足りるか、飲み薬が必要か
• 培養検査を行うべきか
• 登園・登校時にどのように保護するか
• 家庭内でどこまで注意すればよいか
• くり返さないために背景の湿疹や乾燥も治療すべきか

を保護者の方にわかりやすく説明します。

「この程度で受診していいのかな」と迷う段階でも大丈夫です。広がる前にご相談ください。

1. とびひ(伝染性膿痂疹)とは?

とびひは、皮膚に細菌が入り込むことで起こる感染症です。正式には「伝染性膿痂疹」といいます。

名前の通り、皮膚の一部から別の場所へ広がりやすいことが特徴です。特に小さなお子さまでは、かゆいところを無意識に掻いてしまうため、数日で発疹が増えることがあります。 夏に多い病気という印象がありますが、虫刺されや湿疹、乾燥による掻き壊しがあれば、季節に関係なく起こります

2. とびひでよくみられる皮膚の変化

とびひでは、次のような皮膚の変化がみられます。

• 水ぶくれ
• 皮がむけたような赤み
• ジュクジュクしたただれ
• 黄色いかさぶた
• かゆみ
• ヒリヒリした痛み
• 掻いた先に新しい発疹が増える

最初は虫刺されや湿疹に見えることもあります。特に口まわり、鼻の下、腕足などの外部に露出している部分はよくみられる部位です。

「水ぶくれが破れてジュクジュクしてきた」「黄色いかさぶたが増えてきた」という時は、とびひの可能性があります。

3. とびひが起こりやすいきっかけ

とびひの原因菌として多いのは、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌です。

ただし、菌だけで突然発症するというより、皮膚に小さな傷や炎症があるところから始まることが多いです。 特に、虫刺され、あせも、湿疹、アトピー性皮膚炎、すり傷などを掻いた場所から発症することが多く、掻いた手を介して別の場所へ次々と広がることがあります。

4. とびひは人にうつる?

とびひは、ジュクジュクした部分(浸出液)に含まれる細菌が、手や爪を介して他の皮膚につくことで広がることがあります。

また、タオルや衣類などを共有した場合に、家族や兄弟姉妹へうつることもあります。

特にお子さまは、かゆみのため無意識に患部を掻いてしまうことが多く、自分の体の別の場所へ次々と広がってしまうことも少なくありません。

ただし、適切な治療と保護を行えば、必要以上に怖がる必要はありません。

爪を短く整えること、患部を必要に応じてガーゼなどで覆うこと、タオルの共用を避けること、患部を触った後に手洗いをすることが大切です。

5. とびひの治療方針

とびひの治療は、広がり方、部位、ジュクジュクの程度、発熱の有無、背景にある湿疹やアトピー性皮膚炎の有無を見て決めます。

軽い場合は、抗菌薬の塗り薬で対応できることがあります。

一方で、発疹が広い範囲にある場合、顔に多い場合、短期間で増えている場合、ジュクジュクが強い場合には、飲み薬の抗菌薬を使用することがあります。

また、かゆみが強いと掻いて広がるため、かゆみや湿疹を抑える治療も重要です。

6. 培養検査を行う場合

多くの場合は診察で判断できますが、必要に応じて細菌培養検査を行います。
培養検査では、原因となっている菌の種類や、どの抗菌薬が効きやすいかを確認できます。症状が改善しない、広範囲など症状が強い、繰り返しているなど、特にMRSAなどの耐性菌が原因菌である場合に非常に有用な検査です。

検査結果が出るまで数日かかるため、治療の初期、特に抗生物質開始前に検査を行うとより迅速に正確な抗生物質の選択が可能になります。

7. 抗菌薬の塗り薬

範囲が狭く、全身症状がない場合には、抗菌薬の塗り薬を使うことがあります。

代表的な薬には、フシジンレオ、ゲンタシン、アクアチム、ゼビアックスなどがあります。

薬は「薄く何となく塗る」よりも、指示された部位に適切な量を使うことが大切です。塗る前に患部をやさしく洗い、清潔な状態にしてから使用します。

8. 抗菌薬の飲み薬

とびひが広がっている場合や、顔に多い場合、ジュクジュクが強い場合、発熱を伴う場合には、飲み薬の抗菌薬を使うことがあります。

内服期間は症状によって異なりますが、数日から1週間程度を目安にすることが多いです。

途中で良くなったように見えても、自己判断で中止すると再燃することがあります。飲み方や日数は診察時に確認してください。

9. ステロイド外用薬を併用する場合

とびひは細菌感染症ですが、背景に湿疹、虫刺され、アトピー性皮膚炎などの炎症があることが少なくありません。

強いかゆみが続くと、掻いてしまい、さらに広がる原因になります。

そのため、感染を悪化させないよう注意しながら、必要に応じて炎症やかゆみを抑える外用薬を併用することがあります。

ステロイド外用薬は、使い方が大切です。自己判断で使うのではなく、診察で皮膚の状態を確認してから使用します。

10. 再発を防ぐために見るべきポイント

とびひを繰り返す場合、今ある感染だけではなく、皮膚の状態全体を見る必要があります。

特に、

• アトピー性皮膚炎
• 乾燥肌
• 虫刺されを掻きやすい
• あせもができやすい
• 爪が長い
• 鼻まわりをよく触る

などがあると再発しやすくなります。

とびひが落ち着いた後も、湿疹や乾燥を整えることで、再発予防につながります。

11. 治るまでの目安

軽いとびひであれば、治療開始後数日で改善していくことが多いです。
ただし、発疹が広い、掻き壊しが強い、アトピー性皮膚炎がある、耐性菌が関係している場合などは、もう少し時間がかかることがあります。

「少し良くなったけれど、また新しい場所に出てきた」という場合は、治療の見直しが必要です。

12. 改善しにくい時に考えること

とびひとして治療しても良くなりにくい場合には、いくつかの理由があります。

• 抗生物質が原因菌に合っていない(例 MRSAなど耐性菌)
• 塗る範囲や量が不足している
• 掻き壊しが続いている
• 背景の湿疹が残っている
• ヘルペスやかぶれなど別の病気だった

そのため、治りが悪い場合は「同じ薬を続ける」だけでなく、診断や治療方法の再確認が大切です。

13. ご家庭でできるケア

ご家庭では、広げないことと、掻かせないことが大切です。

• 爪を短くする
• 患部を触った後は手を洗う
• タオルを共有しない
• ジュクジュクした部位は必要に応じて覆う
• 石けんでやさしく洗う
• ゴシゴシこすらない
• かゆみが強い場合は相談する

14. 早めの受診をおすすめする症状

次のような場合は早めにご相談ください。

• 半日〜1日で広がっている
• 顔や口まわりにある
• ジュクジュクが強い
• 発熱がある
• 痛がる、かゆみで眠れない
• 何度も繰り返している
• アトピー性皮膚炎がある

とびひは、早い段階で治療するほど広がりを抑えやすい病気です。

15. よくある質問(Q&A)

Q. 朝は少しだったのに、夕方に増えました。急いだ方がよいですか?

A. とびひは短時間で増えることがあります。特に水ぶくれやジュクジュクが出てきた場合、掻いた手で別の場所に広げてしまうことがあります。半日〜1日で明らかに増えている場合は、早めの受診をおすすめします。


Q. 登園・登校の判断は誰に確認すればよいですか?

A. 皮膚の状態は医師が確認できますが、最終的な登園・登校ルールは園や学校によって異なることがあります。受診時には、患部を覆えるか、ジュクジュクが強いか、集団生活で注意すべきことをお伝えします。園から書類を求められている場合は、持参してください。


Q. ガーゼや絆創膏はどのように使えばよいですか?

A. ジュクジュクしている部位や、手が届いて掻いてしまう部位は覆った方がよい場合があります。ただし、密閉しすぎると蒸れて悪化することもあります。部位や範囲によって適した保護方法が変わるため、診察時に確認してください。


Q. お風呂で石けんを使っても大丈夫ですか?

A. 多くの場合、石けんでやさしく洗うことは可能です。大切なのは、強くこすらないことです。泡でなでるように洗い、シャワーでよく流し、タオルで押さえるように水分を取ります。兄弟と同じタオルを使うのは避けましょう。


Q. 市販の消毒薬を使った方がよいですか?

A. 自己判断で強く消毒を続けることはおすすめしません。消毒により皮膚が刺激され、かえって治りにくくなることがあります。とびひでは、やさしく洗って清潔にし、必要な薬を正しく使うことが基本です。


Q. 抗菌薬を飲んだら下痢をしました。続けてよいですか?

A. 抗菌薬で軟便や下痢が出ることがあります。軽い場合は様子を見ることもありますが、強い下痢、腹痛、発疹、元気がないなどがあれば早めにご相談ください。自己判断で中止する前に確認することをおすすめします。


Q. とびひの跡は残りますか?

A. 多くは時間とともに目立ちにくくなります。ただし、強く掻いた場合や炎症が強かった場合は、一時的に茶色っぽく残ることがあります。日焼けで色が濃く見えることもあるため、治った後もこすらず、必要に応じて紫外線対策を行いましょう。


Q. 虫刺されととびひはどう見分けますか?

A. 虫刺されも水疱をもつことがあり、初期は見分けにくいことがあります。虫刺されだけなら数が急に増えにくいことが多いですが、とびひでは水ぶくれ、ジュクジュク、黄色いかさぶた、新しい発疹の増加がみられることがあります。迷う場合は、広がる前に受診してください。


Q. とびひがある時、予防接種は受けられますか?

A. 皮膚の状態や発熱の有無、全身状態によります。とびひが軽く、元気で発熱がなければ可能な場合もありますが、接種予定がある場合は、予防接種を行う医療機関にも確認してください。


Q. 保護者が気をつけるべき一番大切なことは何ですか?

A. 「広げないこと」と「掻かせないこと」です。とびひは薬だけでなく、家庭でのケアが治療の一部になります。爪を短くする、患部を触った後は手を洗う、タオルを分ける、必要に応じて覆うことが大切です。

下高井戸駅前皮膚科クリニック

下高井戸駅前皮膚科クリニックは、京王線・東急世田谷線「下高井戸駅」北口徒歩0分の、世田谷区・杉並区の皮膚科・小児皮膚科・美容皮膚科です。

お子さまの水ぶくれ、ジュクジュク、黄色いかさぶた、急に広がる発疹でお困りの方はご相談ください