はじめに(要点)

  • ニキビは毛穴が詰まる → アクネ菌が増えることで起こります。
  • 放っておくと赤み・色素沈着・クレーターなどの跡が残ることがあります。
  • 多くは保険診療(外用・内服・正しいスキンケア)で改善可能。
  • 重症例や再発をくり返す場合は、自費治療(イソトレチノイン、レーザーフェイシャル等)が有効です。

ニキビは病気?

はい、ニキビは治療すべき皮膚の病気です。痛み・かゆみ・見た目の悩みを生み、放置すると跡になり何年も残ることがあります。女性だけでなく、男性でも受診される方は多くいらっしゃいます。

ニキビができるしくみ

  1. 思春期などのホルモンの影響で皮脂が増える
  2. 毛穴の出口がつまる
  3. 毛穴の中に角質・皮脂がたまり、
     - 白ニキビ(閉じた毛穴で白っぽい)
     - 黒ニキビ(開いた毛穴の内容物が黒く見える)
  4. ここにアクネ菌が増えると炎症が起き、赤ニキビに。
    炎症が強いと、皮膚の深いところまで破壊が及び、最終的に赤み・色素沈着・クレーターなどの跡につながります。さらに進むと、嚢腫(やわらかいしこり)、結節(深部に硬いしこり)が生じることがあります。

重症ニキビの目安

次の所見が繰り返し・広範囲にみられる場合は重症です。自然に治りにくく、早期治療が跡予防の鍵です。

  • 膿疱:膿をもった赤いニキビが多数
  • 結節:皮膚の深いところに硬いしこり
  • 嚢腫:ぷよぷよしたしこり
  • 集簇性ざ瘡:密集して炎症が広がるタイプ(跡が残りやすい)

診断のポイント

スキンケアの基本(再発予防の土台)

  • 洗顔は朝晩2回:よく泡立て、こすらずやさしく。
  • 洗顔後は保湿でバリア機能を整える。
  • ノンコメドジェニック/オイルフリーの化粧品を選ぶ。
  • 摩擦と蒸れを減らす(前髪・マスク・手で触る回数を減らす)。
    地味でも継続が薬の効果を最大化し、再発を防ぎます。

保険診療で行う治療

白・黒ニキビは緊急性は低めですが、見た目と悪化予防のため治療推奨
赤ニキビは跡になりやすいため、早めの治療が重要です。
まずは根拠の確かな保険診療から開始し、多くはこれで十分に改善します。重症・難治例や跡が目立つ場合は自費治療を追加します。

外用薬(塗り薬)

  • ベピオ®(過酸化ベンゾイル):殺菌+角質剥離。
     ゲル/ローション/ウォッシュゲル(入浴10分前に塗って浴室で洗い流す)があります。
  • ディフェリン®(アダパレン):毛穴の詰まりを予防。妊娠・授乳中は不可
  • エピデュオ®:ベピオ+ディフェリンの合剤。赤+白黒ニキビを同時に治療。妊娠・授乳中は不可
  • デュアック®:ベピオ+ダラシン(抗菌薬)。炎症に速効。赤ニキビ消失後は抗菌薬を外すため、ベピオ等へ切替。

副作用と対策(共通)

  • 刺激反応・かぶれ:いずれの薬でも起こり得ます。
  • 漂白作用(ベピオ/エピデュオ/デュアック):衣類・寝具に付かない工夫を。
  • 始め方のコツ:まずはごく少量を狭い範囲から、隔日〜週2–3回で開始。保湿併用可。
     ウォッシュゲルは“10分で洗い流す”ため比較的刺激が少なめです。

外用薬の刺激・かぶれの目安

製剤名刺激反応接触性皮膚炎
ディフェリン★★★☆☆★☆☆☆☆
ベピオゲル★★★☆☆★★☆☆☆
ベピオローション★★☆☆☆★★☆☆☆
ベピオウォッシュ★☆☆☆☆★☆☆☆☆
エピデュオ★★★★☆★★☆☆☆
デュアック★★★☆☆★★☆☆☆
  • 接触性皮膚炎(発赤・かゆみ・ただれが強い):使用中止が必要です。
  • 脱色対策:寝具・パジャマは白系に。ウォッシュゲルは付着リスクが低め。
  • 抗菌外用薬
  • ダラシン/アクアチム/ゼビアックスなど。アクネ菌を減らし赤ニキビを沈めます。
  • ゼビアックスベピオ/エピデュオ同時外用で効果が下がる可能性。理想は朝:ゼビアックス、夜:他剤。実際には“夜まとめて”を希望される方もいます。
  • そのほかの外用
  • イオウカンフルローション:角質をはがし、**ニキビダニ(デモデックス)**にも有効。
  • 内服薬
  • 抗生物質(ミノマイシン/ビブラマイシン/ルリッド/ファロム)
     毛包内の菌を抑え、効果が大きく即効性があります。
  • 漢方薬(十味敗毒湯・荊芥連翹湯・清上防風湯など)
     炎症体質・皮脂過多・月経不順が背景の方にも有用。
  • ビタミン剤(C・B2・B6:シナール/ピドキサール/フラビタン/ビフロキシン等)
     B群は皮脂バランスCは色素沈着の予防・改善を助けます。
  • 注射(局所)
  • ケナコルト®:嚢腫・結節に直接注射し、腫れ・しこりを速やかに縮小

自費治療を考えるタイミング

保険治療が軸ですが、次のような場合は自由診療の併用で効率よく改善をめざします。

  • 外用・抗生物質で改善が不十分/中止ですぐ再発
  • 膿む・炎症が強いため跡が残りやすい
  • 皮脂が非常に多い/根本から改善したい
  • 早い改善や美容面の回復を重視したい

お気軽施術(軽症〜)

  • ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール)
     角質・毛穴詰まりを安全に除去し、外用薬の効きを後押し。角質肥厚が目立つ方に特に有効。
     ※詳しい内容・価格は当院の該当ページをご参照ください。

中等症〜重症に強い治療

レーザーフェイシャル/イソトレチノイン内服などを組み合わせます。

レーザーフェイシャル
 想定効果
 | 作用 | 内容 |
熱でアクネ菌を減らす | 炎症ニキビを抑える |
皮脂腺への熱影響 | 皮脂分泌を抑制 |
血管への作用 | 赤み(炎症後紅斑)を改善 |
産毛脱毛 | 口周り・頬の産毛を減らし毛包炎予防 |
コラーゲン再構築 | 毛穴の引き締め・肌質改善 |
頻度月1回×5〜6回で実感。
料金(税込)
レーザーフェイシャル | ¥11,000(税込)

 ダウンタイム:軽い赤み・熱感が数時間〜1日。日焼け厳禁/UVケア徹底

  • イソトレチノイン内服(ビタミンA誘導体)
    難治性ニキビ・毛穴の開きに高い効果。欧米では標準治療、日本では自費で広がっています。
    期待できる効果
     - 皮脂分泌を抑える
    • 角化異常を是正
    • 炎症を抑え、跡を予防
       費用(税込)
       - 薬剤費:10mg 30日分 ¥16,500
       - 検査費:¥3,300(女性:血液+妊娠検査、男性:血液検査)
       注意:服薬中および前後1か月は必ず避妊乾燥(皮膚・唇)などの副作用に留意。

まずはご相談ください

保険診療で対応可能なケースが大半です。スキンケアを丁寧に行い、状況に合わせて外用・内服を組み合わせます。
一方、繰り返す・重症化する・跡が気になる場合は、自費治療の併用でより確実・早期の改善を目指せます。学生さん、保護者の方、妊娠・授乳中の方も、まずはお気軽にご相談ください。

イソトレチノインに関する法的記載

  • 未承認医薬品:国内未承認。
  • 入手経路:医師による個人輸入
  • 国内承認の有無国内承認薬なし(同等効果薬も国内未承認)。
  • 海外情報:米国FDA等で承認。催奇形性精神症状肝機能異常高脂血症などの副作用報告あり。
  • 救済制度医薬品副作用被害救済制度の対象外
    (上記を踏まえ、十分な説明と同意のうえで治療を行います)