はじめに(要点)
- ニキビは毛穴が詰まる → アクネ菌が増えることで起こります。
- 放っておくと赤み・色素沈着・クレーターなどの跡が残ることがあります。
- 多くは保険診療(外用・内服・正しいスキンケア)で改善可能。
- 重症例や再発をくり返す場合は、自費治療(イソトレチノイン、レーザーフェイシャル等)が有効です。
ニキビは病気?
はい、ニキビは治療すべき皮膚の病気です。痛み・かゆみ・見た目の悩みを生み、放置すると跡になり何年も残ることがあります。女性だけでなく、男性でも受診される方は多くいらっしゃいます。
ニキビができるしくみ
- 思春期などのホルモンの影響で皮脂が増える
- 毛穴の出口がつまる
- 毛穴の中に角質・皮脂がたまり、
- 白ニキビ(閉じた毛穴で白っぽい)
- 黒ニキビ(開いた毛穴の内容物が黒く見える) - ここにアクネ菌が増えると炎症が起き、赤ニキビに。
炎症が強いと、皮膚の深いところまで破壊が及び、最終的に赤み・色素沈着・クレーターなどの跡につながります。さらに進むと、嚢腫(やわらかいしこり)、結節(深部に硬いしこり)が生じることがあります。
重症ニキビの目安
次の所見が繰り返し・広範囲にみられる場合は重症です。自然に治りにくく、早期治療が跡予防の鍵です。
- 膿疱:膿をもった赤いニキビが多数
- 結節:皮膚の深いところに硬いしこり
- 嚢腫:ぷよぷよしたしこり
- 集簇性ざ瘡:密集して炎症が広がるタイプ(跡が残りやすい)
診断のポイント
スキンケアの基本(再発予防の土台)
- 洗顔は朝晩2回:よく泡立て、こすらずやさしく。
- 洗顔後は保湿でバリア機能を整える。
- ノンコメドジェニック/オイルフリーの化粧品を選ぶ。
- 摩擦と蒸れを減らす(前髪・マスク・手で触る回数を減らす)。
地味でも継続が薬の効果を最大化し、再発を防ぎます。
保険診療で行う治療
白・黒ニキビは緊急性は低めですが、見た目と悪化予防のため治療推奨。
赤ニキビは跡になりやすいため、早めの治療が重要です。
まずは根拠の確かな保険診療から開始し、多くはこれで十分に改善します。重症・難治例や跡が目立つ場合は自費治療を追加します。
外用薬(塗り薬)
- ベピオ®(過酸化ベンゾイル):殺菌+角質剥離。
ゲル/ローション/ウォッシュゲル(入浴10分前に塗って浴室で洗い流す)があります。 - ディフェリン®(アダパレン):毛穴の詰まりを予防。妊娠・授乳中は不可。
- エピデュオ®:ベピオ+ディフェリンの合剤。赤+白黒ニキビを同時に治療。妊娠・授乳中は不可。
- デュアック®:ベピオ+ダラシン(抗菌薬)。炎症に速効。赤ニキビ消失後は抗菌薬を外すため、ベピオ等へ切替。
副作用と対策(共通)
- 刺激反応・かぶれ:いずれの薬でも起こり得ます。
- 漂白作用(ベピオ/エピデュオ/デュアック):衣類・寝具に付かない工夫を。
- 始め方のコツ:まずはごく少量を狭い範囲から、隔日〜週2–3回で開始。保湿併用可。
ウォッシュゲルは“10分で洗い流す”ため比較的刺激が少なめです。
外用薬の刺激・かぶれの目安
| 製剤名 | 刺激反応 | 接触性皮膚炎 |
| ディフェリン | ★★★☆☆ | ★☆☆☆☆ |
| ベピオゲル | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
| ベピオローション | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
| ベピオウォッシュ | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
| エピデュオ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
| デュアック | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
- 接触性皮膚炎(発赤・かゆみ・ただれが強い):使用中止が必要です。
- 脱色対策:寝具・パジャマは白系に。ウォッシュゲルは付着リスクが低め。
- 抗菌外用薬
- ダラシン/アクアチム/ゼビアックスなど。アクネ菌を減らし赤ニキビを沈めます。
- ※ゼビアックスとベピオ/エピデュオは同時外用で効果が下がる可能性。理想は朝:ゼビアックス、夜:他剤。実際には“夜まとめて”を希望される方もいます。
- そのほかの外用
- イオウカンフルローション:角質をはがし、**ニキビダニ(デモデックス)**にも有効。
- 内服薬
- 抗生物質(ミノマイシン/ビブラマイシン/ルリッド/ファロム)
毛包内の菌を抑え、効果が大きく即効性があります。 - 漢方薬(十味敗毒湯・荊芥連翹湯・清上防風湯など)
炎症体質・皮脂過多・月経不順が背景の方にも有用。 - ビタミン剤(C・B2・B6:シナール/ピドキサール/フラビタン/ビフロキシン等)
B群は皮脂バランス、Cは色素沈着の予防・改善を助けます。 - 注射(局所)
- ケナコルト®:嚢腫・結節に直接注射し、腫れ・しこりを速やかに縮小。
自費治療を考えるタイミング
保険治療が軸ですが、次のような場合は自由診療の併用で効率よく改善をめざします。
- 外用・抗生物質で改善が不十分/中止ですぐ再発
- 膿む・炎症が強いため跡が残りやすい
- 皮脂が非常に多い/根本から改善したい
- 早い改善や美容面の回復を重視したい
お気軽施術(軽症〜)
- ケミカルピーリング(サリチル酸マクロゴール)
角質・毛穴詰まりを安全に除去し、外用薬の効きを後押し。角質肥厚が目立つ方に特に有効。
※詳しい内容・価格は当院の該当ページをご参照ください。
中等症〜重症に強い治療
レーザーフェイシャル/イソトレチノイン内服などを組み合わせます。
レーザーフェイシャル
想定効果
| 作用 | 内容 |
熱でアクネ菌を減らす | 炎症ニキビを抑える |
皮脂腺への熱影響 | 皮脂分泌を抑制 |
血管への作用 | 赤み(炎症後紅斑)を改善 |
産毛脱毛 | 口周り・頬の産毛を減らし毛包炎予防 |
コラーゲン再構築 | 毛穴の引き締め・肌質改善 |
頻度:月1回×5〜6回で実感。
料金(税込)
レーザーフェイシャル | ¥11,000(税込)
ダウンタイム:軽い赤み・熱感が数時間〜1日。日焼け厳禁/UVケア徹底。
- イソトレチノイン内服(ビタミンA誘導体)
難治性ニキビ・毛穴の開きに高い効果。欧米では標準治療、日本では自費で広がっています。
期待できる効果
- 皮脂分泌を抑える- 角化異常を是正
- 炎症を抑え、跡を予防
費用(税込)
- 薬剤費:10mg 30日分 ¥16,500
- 検査費:¥3,300(女性:血液+妊娠検査、男性:血液検査)
注意:服薬中および前後1か月は必ず避妊。乾燥(皮膚・唇)などの副作用に留意。
まずはご相談ください
保険診療で対応可能なケースが大半です。スキンケアを丁寧に行い、状況に合わせて外用・内服を組み合わせます。
一方、繰り返す・重症化する・跡が気になる場合は、自費治療の併用でより確実・早期の改善を目指せます。学生さん、保護者の方、妊娠・授乳中の方も、まずはお気軽にご相談ください。
イソトレチノインに関する法的記載
- 未承認医薬品:国内未承認。
- 入手経路:医師による個人輸入。
- 国内承認の有無:国内承認薬なし(同等効果薬も国内未承認)。
- 海外情報:米国FDA等で承認。催奇形性、精神症状、肝機能異常、高脂血症などの副作用報告あり。
- 救済制度:医薬品副作用被害救済制度の対象外。
(上記を踏まえ、十分な説明と同意のうえで治療を行います)